五十肩(肩関節周囲炎)

☆五十肩

{代表的な症状}

肩の痛みのために腕が思うようにあがらない。シャツを着たり脱いだり、髪をうしろで束ねる動作がつらい。夜間に痛みのために目が覚める。

「どのような病気ですか?」

日頃、筋肉をあまり使わない五十歳代のサラリーマンや主婦に起こることが多い病気です。

(近年は若年化しているともいわれ、私がみた最年少は小学三年生の男の子でした。)

日常生活では肩の腱にはかなりの負担がかかっています。四十~五十代では肩関節の老化がかなり進み、血行も悪くなるので、肩の周りの腱と周囲の組織に塩漿が起きて痛むのです。なかには三十歳代で発症する人もあります。肩や腕に行く神経は、頚の下部や背中の上部から出ていますが、そうした神経が圧迫されると肩や腕が痛むのです。ですから中国には、頸の周囲のツボだけに鍼をして、かなりの人が完治したという報告があります。頚に鍼をすると、肩や右での痛みは治るのですが、頚が痛み出すことがよくあります。これは頚が痛むのを我慢し、それが慢性化して起こった五十肩に多いのですが、その場合は頸の神経が麻痺して痛みを感じなくなり、さらに腕や肩へと波及したものです。つまり腕や肩の痛みが強いため、頸の痛みを感じることができていなかったのです。だから治るときは、逆の進路をたどって、麻痺した頚が痛くなり、さらに頚が治るという過程をたどります。頚が凝り固まると右でだけではなく、背中が痛くなったり、耳鳴りがしたり、胃の調子がおかしくなったりと、ほかにもいろいろな症状が起こってきます。発病の早い時期では肩から腕にかけて痛みを感じるのが主な症状です。この時期に鍼治療をすれば、三回~五回くらいで治癒します。ほおっておくと痛みはだんだん強くなり、腹を脱いだり着たりの動作でも痛むようになります。無意識に腕をかばい、あまり動かさなくならため、この状態が長く続くと、五十肩が慢性化して腕の関節が凍りついたように動かなくなります(これを「拘縮こうしゅく」といいます)。この状態になると、すでに麻痺しているので肩の痛みをあまり感じなくなりますが、筋肉が痩せてきて盂での力もなくなってきます。この段階になると治療に六回以上の回数を必要としますし、治療中に頸のときと同じように腕や肩の痛みが復活してきます。この状態になると「鍼にいったら悪くなった、よけいに痛くなった」という判断をされて、鍼治療を止めてしまう方もいます。(せっかく治療効果があがっているのにモッタイナイ・・・)

不安や気になることがあれば、施術者に伝えてくださると、回り道をしないですみます。

腕が上に上がらないのは、棘上筋という筋肉、手が後ろに回らないのは、肩甲下筋か烏口腕筋という筋肉ですので、頚と併せて部分にも鍼をします。また上腕骨頭という場所が癒着して動かない場合もそこに鍼をします。

「日常生活の注意」

肩や腕に行く深頚は、すべて首から出ているので、机の上に広げたものを下を向いて長時間見たり、うつぶせで本を読んだり、長時間スマホの画面を見るなど、首に負担がかかることをしない、この病気は首を真っ直ぐにして、ある程度動かしていれば予防できます。

(ごじゅうかた)