坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)

坐骨神経痛

{代表的な症状}

腰、お尻、足がだるかったり痛む。前かがみになると痛みが出て、昼間だけ痛いタイプと、前屈みになると痛みが和らぎ、一日中同じ痛みでなく夜間痛が強いタイプがあります。前者はヘルニアが原因の場合が多く、鍼では治らないという説もあるのですが痛みの緩和には効果があります。腰がまっすぐに伸びず、痛みのためまっすぐ立てない方が、ヘルニアと診断されアキラメテいましたが、1回の鍼治療でまっすぐ立てるようになりました。後者は筋肉が悪く、鍼の適応症です。よくエビのように身体を丸めて寝たりします。

「どのような病気ですか?」

坐骨神経痛は、様々な原因で起こります。一番多いのは筋肉の痙攣で、そのほかには椎間板突出(ヘルニア)や背骨の以上で起きるすべり症や分離症、老人におおい骨疽鬆症などがあります。まれには首の骨が膨らんで背髄を圧迫するため起きたものや、背骨に腫瘍芽できて起きる坐骨神経痛もあります。つまり神経や背髄を何かが圧迫することが原因です。筋肉が原因の坐骨神経痛では、大腰筋や梨状筋が拘縮(ひきつり)していますが、これは骨や腫瘍が原因のものと違い、レントゲンで見てもわかりません。これが手術しても治らない原因不明とされやすい坐骨神経痛で、鍼灸の適応症となるものです。坐骨神経痛の鍼治療には、ふつう三~四回、重症で六回程度かかります。

「日常生活の注意」

太っておなかの出ている人は、腰痛やヘルニアになりやすいので注意します。物理的に言うと、おなかが出ている人は、作用点が身体を支える支点の背骨付近から遠ざかっているので、腰の筋肉に力を入れなければ身体を支えることができません。すると、必然的に腰骨に負担がかかり椎間板が破れてでます(ヘルニア)。特に珍重が高くて体重のある人は、背骨に重量がかかっているので気をつけてください。対策は、腹筋を鍛えるとよいと言われていますが、すでにヘルニアになっている人が腹筋を鍛えた場合、逆に悪化することがあります。ヘルニアになってしまったら、引っ張って出たヘルニアを手術で切り取るか、レーザーで焼ききるか、パパイヤ液(たんぱく質分解酵素を含む)で溶かすしかないと言われてきましたが、近年の発表では、ヘルニアの出た部分は適切な処置をすれば、時間と共にマクロファージという免疫細胞が食べてしまうので、自然寛解するという発表もあります。

筋肉のひきつりが原因なら、初期のぎっくり腰の間に鍼治療で筋肉の痙攣を解いてしまうと治りが早いです。大腰筋を痙攣したままにしておくと、それが上下に引っ張る力に耐えられず、徐々に押しつぶされてヘルニアになったりします。腰痛の原因がヘルニアならば、背骨に負担のかかる斜めや前屈みの姿勢は避けるようにします。

骨粗鬆症による腰痛は、骨がスポンジのようにスカスカになり、潰れて神経を押さえつけているのです。これは高齢の女性に時々見られます。骨はカルシウムだけを摂取しても作られませんので、漢方では六味地黄丸や八味地黄丸が老人のための保健薬として昔から飲まれています。この中に含まれる地黄にはマンガンや亜鉛などのミネラルが多く含まれていますが、現代になって骨を作るにはカルシウム以外のミネラル分のマンガンや亜鉛もわずかならが必要なことがわかっています。またビタミンDも必須で、これは日中の紫外線をあびることでしか体内で作られません。中国では「流水は腐らず、蝶番は虫に食われず」という諺があり、運動が長生きのために必要なことを教えています。最近は常識になってきましたが、運動しないと骨が作られないことが科学的にも明らかになってきました。宇宙飛行士がロケットの中で運動するのは、筋肉だけでなく骨が衰えないようにとの異味ですが、骨のような物質は、力が加わってゆがむと電気が発生し、そこにカルシウムが引き寄せられて骨ができることがわかったのです。折れた骨にマイナス電気を流すとくっつくのが早くなるのも同じ理由です。

以上のように、筋肉のひきつり、ヘルニア、骨粗鬆症の三つが坐骨神経通の主な原因なので、注意して治療法を選択してください。

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